2005年5月29日(日)22:06

フランスはEU憲法を否決

パリ(AP)

フランスはEU憲法を否決し、EUを深刻な危機に陥れた。フランステレビの最終得票予測では、日曜日の国民投票でおよそ55パーセントの有権者がEU憲法に反対票を投じた。この明確な否決結果はジャック・シラク大統領の大敗を意味する。

欧州委員会は、フランスの否決でも批准プロセスを当面進める考えである。水曜日にはオランダの国民投票が控えているが、ここでも否決が予想されている。すでにEUの指導的政治家は、この欧州憲法という歴史的なプロジェクトの再交渉を否定している。ヴァレリー・ジスカールデスタン欧州将来像会議議長はフランスの再度の国民投票を提案している。

国民投票の投票率はおよそ70パーセントと見られている。EU憲法反対はTF-1テレビの委託でTNS-Sofresが行った調査では54.5パーセント、フランス2テレビの委託によるIpsosの調査では55パーセント、フランス3テレビの委託によるCSAの調査では55.6パーセントと出ている。この数字は、最近数週間の世論調査の予測より若干明確な否決結果となった。

ヨーロッパ全体が固唾を呑んで見守った国民投票の決定を受けて、フランスでは速やかな内閣改造が予測されている。右派自由主義のジャンピエール・ラファラン首相の任期は残り僅かと見られており、きわめて人気の低いラファラン首相の後継候補には、ドミニク・ドヴィルパン内相やミシェル・アリオマリー防衛相の名前が挙がっている。

シラク大統領はすでに国民投票の実施前に否決の際の退陣の可能性を否定している。これまで国民投票で敗北した大統領はフランス第五共和制の歴史で一人しかいない。シャルル・ドゴール大統領は1969年の国民投票否決を受けてただちに辞任を発表した。

すでに加盟全25ヶ国中10ヶ国が批准した*)EU憲法はフランスを真っ二つに分断した。シラク大統領とラファラン首相、ならびに野党社会党(PS)のフランソワ・オランド首相もEU憲法承認を訴えた。

これに対しEU憲法反対は幅広い同盟を形成した。左派の憲法反対派ならびに共産党や社会党のファビウス元首相は、欧州憲法がリベラル経済のEUや社会保障制度解体への道を開くとして批判していた。極右のジャンマリー・ルペンも主権論者のフィリップ・ドヴィリエール Philippe de VilliersもEU憲法反対の論陣を張っていた。

原題:Frankreich sagt Nein zur EU-Verfassung

*)訳注:批准を完了した国はリトアニア、ハンガリー、スロヴェニア、イタリア、ギリシャ、スロヴァキア、スペイン、オーストリア、ドイツの9ヶ国。ベルギーも上院・下院の批准を終え、地域議会を残すのみとなっている。




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